栽培への哲学

持丸園の経営理念と栽培へのこだわり

熊本県玉名郡和水町に広がる持丸園は、100年以上の歴史を誇るみかん農園です。四代にわたってみかん作りに情熱を注ぎ続け、その豊かな風味と品質で多くの人々に愛されてきました。持丸園の成功の背景には、自然との調和を大切にする経営理念と、細部にまでこだわり抜いた栽培方法があります。

持丸園の経営理念と栽培へのこだわりは、単なる農作物としてのみかんを育てるという枠を超え、地域と自然、そして次世代への責任感から生まれた強い使命感によって支えられています。この使命感は、自然との共生を重んじ、環境への負荷を最小限に抑えながらも、最高品質の果実を生み出すという目標を追求する姿勢に表れています。持丸園では、農業を通じて地域の活性化や自然環境の保全にも貢献し、次世代へと持続可能な農業を引き継ぐという責任を負っています。

こうした深い使命感のもとで育まれたみかんは、自然の豊かな恵みを最大限に活かしつつ、長年培われてきた農園独自の高度な技術と情熱によって生まれています。土壌作りから植樹、収穫に至るまで、すべての工程において妥協を許さず、みかんの品質にこだわり抜くことで、他にはない特別な果実を提供しています。自然の力と持丸園の技術が見事に融合したそのみかんは、口に含むと自然の恵みを感じさせる豊かな味わいと芳醇な香りが広がり、まさに極上の果実としてその存在感を示します。

光の取り込み ～最適な日照量が生む最高の甘み～

持丸園のみかん作りにおいて、光の取り込みは最も重要な要素の一つです。みかんの木は、光合成を通じて果実に糖分を蓄えますが、そのためには十分な日光が欠かせません。持丸園では、みかんの木が周囲の木々と競合することなく、最大限に日光を浴びることができるよう、綿密な配置計画が立てられています。

まず、木々の間隔を適切に空けることで、互いの葉が重なり合わないように配慮しています。これにより、各木が均等に日光を受け、葉が影を作らないようにしています。また、木の高さや植える角度も計算されており、光がどの時間帯にも最適に当たるような配置を心がけています。

特に、みかんの糖度は光合成によって蓄積されるため、日光の取り込み量が直接果実の甘みに影響します。持丸園の栽培方法では、各木が十分な光を受けることで、果実に高い糖分が蓄えられ、深い甘みを持つみかんが育ちます。これは、通常のみかん栽培では見られない細やかな工夫であり、持丸園ならではのこだわりが詰まっています。

さらに、日照条件が異なる山の斜面の特性を活かし、光の反射や角度を最大限に利用することで、自然の力をフルに引き出した栽培が可能になっています。結果として、みかんは光合成が活発に行われ、糖分が凝縮され、芳醇で濃厚な味わいが実現されています。

空気の循環 ～健康な成長を支える風の道～

光の取り込みと並んで重要なのが、空気の循環です。みかんの木が健康的に成長するためには、風通しの良い環境が必要不可欠です。持丸園では、木々の配置や土地の形状に細心の注意を払い、空気がスムーズに流れるように工夫されています。

植樹の際には、木々の間隔だけでなく、土地の傾斜にも配慮しています。これにより、空気が停滞せず、風が自然に流れ込むことで、木々の葉や幹が十分に空気を受けることができます。このような環境は、木々が病気になりにくく、健康的に成長するために非常に重要です。適切な空気の流れが確保されることで、湿度がコントロールされ、カビや害虫の発生が抑制されるため、農薬に頼らない自然な栽培が可能になります。

また、空気が流れることで、土壌内の微生物も活性化し、根がしっかりと栄養を吸収できるようになります。このような環境は、みかんの木の全体的な健康状態を向上させ、果実の品質にも直接的な影響を与えます。

さらに、持丸園では季節ごとの風の動きにも注目し、寒い時期の冷気や台風などの強風をうまく避けるための対策も講じています。これにより、みかんの木が風のストレスを最小限に抑えながらも、空気の循環が保たれる理想的な環境が作られています。この結果、みかんの木は健やかに成長し、果実はその恩恵を受けて、みずみずしく、栄養価の高いものとなります。

このように、持丸園では、光と空気という自然の要素を最大限に活かした栽培方法が徹底されています。これらの細やかな配慮が、持丸園の高品質なみかんの生産を支えており、他にはない深い甘みと豊かな風味を実現しているのです。

根を育てるための特別な土壌作り

持丸園の栽培法の中核には、土壌作りへの徹底的なこだわりがあります。みかんの品質を左右する最も重要な要素の一つは、木の根がしっかりと張り、地中から豊富な栄養素を吸収できることです。このため、持丸園では化学肥料にだけ頼るのではなく、天然由来の有機肥料を使用して、土壌を豊かに保っています。

これらの有機肥料は、季節やみかんの木の成長段階に合わせて施され、木が必要とするタイミングで最適な栄養を吸収できるように計画的に与えられています。土壌の微生物も活性化され、自然の力を活かした健康的な土壌環境が保たれています。

みかんの栄養価と品質の向上

持丸園では、単にみかんの甘さや香りを追求するだけでなく、果実に含まれる健康成分を高めることにも注力しています。先述した有機肥料の他にも、成分の濃縮を図るための特殊な栽培手法が導入されています。これにより、みかんは豊富なビタミンやミネラルを含むだけでなく、抗酸化作用のある成分を多く含み、健康にも良いフルーツとして評価されています。

「楽な農業」への挑戦

持丸園では「人も植物も楽な農業」を掲げ、負担を最小限に抑えることを目指しています。これを実現するために、以下の技術が駆使されています。

•灌漑システム：必要な水分を無駄なく供給できる灌漑システムを導入し、みかんの木にストレスをかけない適切な水管理を行っています。このシステムにより、乾燥しすぎることなく、過度な水分も避けられ、木々は健やかに成長します。

•省力化栽培技術：みかんの木の手入れを効率化するために、剪定や収穫のタイミングにも最新の技術が活用されています。木々が最も自然な形で成長するようにしつつ、作業を効率化することで、木にも農家にも負担をかけない「楽な農業」を実現しています。

持丸園の未来～伝統と革新を未来へ

持丸園は、自然との共生を目指した持続可能な農業を次世代へ継承することを使命としています。そのため、伝統を重んじつつも、常に新しい技術や知見を取り入れ、持続可能な農業の形を模索し続けています。環境に優しい農業を実践しながら、高品質で健康的なみかんを提供し続けることで、持丸園は次の100年に向けて新たな挑戦を続けていきます。